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朝起きると顎が痛い——歯ぎしり・食いしばりのリスクと対処法

在宅勤務でパソコンに向かう時間が増え、気づけば奥歯をぐっと食いしばっている——そんな経験に心当たりはないでしょうか。高尾から都心へ毎日通うビジネスパーソンをはじめ、仕事中のストレスや緊張が無意識のうちに顎へ蓄積されるケースが増えています。「朝起きると顎がだるい」「こめかみが重い」という症状は、夜中に歯を強く食いしばっているサインである可能性があります。

この記事では、睡眠中の歯ぎしり・食いしばり(医学的には「ブラキシズム」と呼ばれます)の仕組み、放置した場合のリスク、そして歯科で行える具体的な対処法について、専門家の立場から丁寧に解説します。

朝だけ顎が痛い——それ、夜中に歯を食いしばっているサインかもしれません

「ブラキシズム」とはなにか

歯ぎしりや食いしばりをまとめて、歯科の専門用語でブラキシズムと呼びます。歯をこすり合わせる「グラインディング」、ぐっと噛み締める「クレンチング」、上下の歯をカチカチ当てる「タッピング」の3種類が含まれ、起きているときに起こる「覚醒時ブラキシズム」と、眠っている間に起こる「睡眠時ブラキシズム」に大別されます。

日本歯科医師会の情報によると、睡眠時ブラキシズムは国際睡眠関連疾患分類において睡眠関連運動異常症に分類され、「過度の覚醒活動に関連する睡眠中の歯のグラインディングまたはクレンチングを特徴とする口腔異常機能」と定義されています。

朝だけ顎が痛むというケースの多くは、この睡眠時ブラキシズムが関係しています。日中はほとんど症状を感じないため「自分は大丈夫」と思いがちですが、夜間に顎や歯に大きな負荷がかかり続けていることに気づかないまま過ごしている方が少なくありません。

睡眠中の発生率——実は珍しいことではない

「自分だけが歯ぎしりをしているのかもしれない」と不安に感じる必要はありません。欧米やアジア諸国での調査によると、睡眠時ブラキシズムの発生率は、小児で10〜20%、成人では約5〜8%、高齢者で2〜3%と加齢とともに減少し、大きな性差はないことが報告されています。

また、日本歯科医師会は「朝起きると歯や顎が痛い、疲れた感じがする。歯が欠けたり割れたことがある。こんなことはありませんか。それは歯ぎしりが原因かもしれません」と注意を促しており、朝の顎の違和感は歯科受診の目安となる典型的なサインとされています。

なぜ朝に痛みが出るのか

睡眠時ブラキシズムの大半は、睡眠ポリグラフィー(PSG)を用いた睡眠生理学的研究により、浅いノンレム睡眠時に発生することが分かっています。浅い眠りのタイミングで咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ばれる顎を動かす筋肉が強く収縮し、目が覚める頃には筋肉が疲弊した状態になっています。これが「朝だけ顎が重い・痛い」という症状として現れる主なメカニズムです。

歯ぎしり・食いしばりに「気づけない」理由:睡眠中に起こるから厄介

自分では確認できない

睡眠時ブラキシズムの最大の難点は、本人がほとんど気づけないことです。パートナーや家族に「夜中に歯ぎしりをしている」と指摘されて初めて知るケースもあれば、音を立てない食いしばり(クレンチング)の場合は周囲も気づかないことがあります。

日本歯科医師会が公開する「テーマパーク8020」の解説によると、現在では睡眠時ブラキシズムは多因子性であり、ストレス、性格、遺伝、飲酒、喫煙、特定の疾患(睡眠呼吸障害など)など、さまざまな因子が関与していることが報告されています。特にストレスとの関係は研究でも注目されており、長期間の携帯型筋電計を用いた研究により、ストレスに対応したブラキシズム・レベルの上昇が観察されています。

仕事の繁忙期や環境の変化があった後に「朝の顎の痛み」が強くなったと感じる方は、その変化がブラキシズムの増悪につながっている可能性があります。

パソコン・スマホ作業と「隠れ食いしばり」

日本歯科医師会によると、スマホやパソコンなどを操作する際に下を向く作業が多いなど、前屈みの姿勢をとると自然と顎は閉じる方向に向かいやすく、ストレスを感じると交感神経系の活動が優位になり顎に力が入りやすくなることも指摘されています。

これは睡眠時だけの問題ではありません。在宅勤務でモニターに長時間向かっているとき、無意識に上下の歯を接触させ続ける「歯列接触癖(TCH:Tooth Contacting Habit)」が習慣化すると、その緊張状態が夜間の食いしばりにも影響します。日中の姿勢や緊張状態を意識することが、夜間の症状を和らげる一助になります。

診断はどのように行われるか

日常の歯科診療でブラキシズムを正確に診断するには、いくつかの臨床所見を組み合わせて判断します。臨床的な診断基準として、①歯ぎしり音や患者による歯のかみしめの自覚、②咬耗(歯のすり減り)、③咬筋の肥大、④起床時の症状などを指標として睡眠時ブラキシズムの診断を行うことができます。

あい歯科クリニック高尾では、CTスキャンによる画像診断と口腔内の詳細な視診を組み合わせた検査を行っています。「朝に顎が重い」という主訴だけでも、歯のすり減り方のパターンや咬筋の状態から、ブラキシズムの可能性をある程度把握できます。まずは気になる症状を遠慮なくお伝えください。

こんな症状があればチェック:歯・顎・頭・肩にひそむ歯ぎしりのサイン

口の中に現れるサイン

歯ぎしりや食いしばりは、口の中に特徴的な痕跡を残します。以下のような変化に気づいた方は、一度歯科で確認されることをお勧めします。

サイン 主な原因となる機序
歯の咬合面(噛む面)がすり減っている 上下の歯が長時間こすれ合うことで歯のエナメル質が削れる
冷たいものが歯にしみる(知覚過敏) エナメル質の摩耗により象牙質が露出する
歯にひびが入っている/欠けた 強い咬合力が繰り返しかかることで歯に亀裂が生じる
頬の内側に白い線がある 歯と頬の粘膜が噛み合わさるラインに白線が生じる
舌の縁に歯形がついている 舌が歯に強く押しつけられることで圧痕ができる

日本歯科医師会の情報によると、噛みしめや食いしばりなど上下の歯を接触した状態が続くことも知覚過敏の原因になることがあり、睡眠時の歯ぎしりだけでなく、日中ストレスなどによって無意識に上下の歯が接触してしまう癖も注目されています。

顎・頭・肩・首に現れるサイン

ブラキシズムの影響は口の中にとどまりません。咀嚼筋が過剰な収縮を繰り返すため、顎以外にも以下のような症状が出ることがあります。

  • 朝の顎のこわばり・開口時の痛み:就寝中に筋肉が疲弊した状態で目が覚める
  • こめかみから頭にかけての頭痛:側頭筋(こめかみの筋肉)への過負荷
  • 肩・首のこり:顎周囲の筋肉緊張が頸部筋肉に波及する
  • 耳の前あたりの痛み・違和感:顎関節への負荷が耳の痛みのように感じられる場合がある

日本歯科医師会によると、ストレスがあると日中や睡眠中に食いしばり・歯ぎしりを起こし、これが顎関節の負担を大きくし、さらに顎を動かす筋肉にも影響することが指摘されています。

放置するとどうなるか——進行リスクを知っておく

歯ぎしり・食いしばりを「どうせ癖だから」と放置していると、次第に歯や顎関節への損傷が蓄積されます。

日本歯科医師会の情報によると、歯ぎしりや食いしばりは外傷性咬合(歯に強い負担がかかる状態)として歯周病のリスク因子にもなることが知られています。さらに、進行すると顎関節症(顎関節の変形や関節円板のずれ)を引き起こすことがあり、口が大きく開かない・顎がカクカクする・食事のたびに痛みが出るといった深刻な状態につながることもあります。

当院の小林正明院長は「症状が出てから来院するのではなく、サインに気づいた段階で確認しておくことが、歯を長く守るために非常に大切です」という考えのもと、早期相談を歓迎しています。

歯科でできる対処法:ナイトガードから生活習慣の見直しまで

ナイトガード(スプリント)の役割

歯ぎしり・食いしばりに対して歯科で最も多く用いられるのが、ナイトガード(スプリントとも呼ばれます)と呼ばれるマウスピース型の装置です。就寝時に装着し、歯や顎への直接の衝撃を和らげます。

日本顎関節学会が2023年に改訂した「顎関節症初期治療診療ガイドライン」では、成人の顎関節症(筋痛または関節痛)に対する初期治療として、自己開口訓練およびスタビリゼーション口腔内装置(スプリント)の装着を提案しています。

ナイトガードには主に以下の種類があります。

種類 素材・特徴 向いているケース
ハードタイプ 硬質レジン。耐久性が高く噛む力を分散しやすい 顎関節に痛みがなく、歯のすり減りが気になる方
ソフトタイプ 柔らかいシリコン系素材 顎関節に痛みがある場合の導入初期
ハードソフト複合タイプ 内側ソフト・外側ハードの2層構造 より快適な装着感を求める方

なお、ナイトガードはあくまでも歯・顎関節への負担を和らげることを目的とした装置です。現時点では確実にブラキシズム自体を抑制できる単一の治療法はなく、ストレス、飲酒、喫煙、服薬、睡眠障害等の関与が疑われれば、それぞれへの対応を組み合わせることが重要です。

生活習慣の改善とセルフケア

ナイトガードと並行して、日常生活の見直しも症状の改善に関わります。

日本歯科医師会は、ストレス発散として飲酒や喫煙に頼ることは健康に良くないとしたうえで、運動やストレッチなど身体を動かすことや、趣味など好きなことをする時間を作ることが大切と述べています。

また、パソコン作業中は意識的に「上下の歯を離す」ようにする習慣も一定の効果が期待されます。上下の歯は、食事や会話以外の時間は本来わずかに離れているのが自然な状態です。「気づいたら離す」という習慣を積み重ねることが、日中の緊張を和らげる一助になります。

当院での相談の流れ

あい歯科クリニック高尾では、顎関節症への対応を行っており、初診では問診と視診・触診を丁寧に行い、必要と判断した場合にはCTスキャンで顎の骨や関節の状態を確認することもあります。その後、症状の程度と原因をご説明したうえで、同意を得てから治療方針を決定します。

当院では歯を残すことを治療方針の一つとして考慮しながら、症状の原因へのアプローチを大切にしています。複数のドクターによる分析と検査で原因の把握に努め、患者さまと一緒にゴールを見据えながら取り組むことを大切にしています。

保険診療の場合、初診時の費用は診療内容・検査項目によって異なります。3割負担を前提とした目安として3,000〜5,000円程度ですが、実際の費用は診察時にご確認ください。クレジットカード・分割払い(デンタルローン)にも対応しています。

まとめ

  • 朝の顎の痛み・こわばりは、睡眠中の歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)のサインである可能性があります。 日本歯科医師会のデータでは、睡眠時ブラキシズムの発生率は成人で約5〜8%と報告されており、決して珍しい状態ではありません。
  • ブラキシズムには多くの要因が関与しており、ストレス・睡眠障害・飲酒などが代表的です。 パソコン作業時の前屈みの姿勢や日中の歯の食いしばりが夜間の症状と連動することもあり、生活習慣全体を見直す視点が重要です。
  • 歯のすり減り・知覚過敏・頭痛・肩こりは、口の外に現れるブラキシズムのサインです。 放置すると歯周病の進行リスクや顎関節症につながる可能性があるため、早めの確認が歯を守ることにつながります。
  • 歯科での主な対処法はナイトガード(スプリント)です。 日本顎関節学会の2023年改訂ガイドラインでも、スタビリゼーション口腔内装置の使用が初期治療として提案されており、歯科で作製したカスタムメイドのものを使用することが重要です。
  • 当院では問診・視診・CTスキャンを組み合わせた丁寧な診断を行い、インフォームドコンセントのもとで治療方針を決定します。 当院が所属する新心会グループの歯科医師と情報共有しながら診療にあたっています。

「朝に顎が重い」「歯が割れてきた気がする」という方は、在宅勤務中や通勤疲れが出やすいこの時期こそ早めのチェックをお勧めします。あい歯科クリニック高尾では、土曜・日曜も診療しており、平日に時間が取りにくい方のご相談も歓迎しています。24時間受付のWEB予約もご利用いただけます。まずは気になる症状をお気軽にお聞かせください。

あい歯科クリニック 高尾

📍 東京都八王子市初沢町1231-16 リトナード高尾(高尾駅南口すぐ)

📞 042-673-7610

🌐 WEB予約:24時間受付

はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。

参考文献

[1] 日本歯科医師会「歯ぎしり(ブラキシズム)」テーマパーク8020 jda.or.jp

[2] 日本歯科医師会「お口のなんでも相談『歯ぎしり』」jda.or.jp

[3] 日本歯科医師会「お悩み相談!教えて先生 テーマ:TCH」朝日るーばん jda.or.jp

[4] 日本歯科医師会「お悩み相談!教えて先生 テーマ:知覚過敏」朝日るーばん jda.or.jp

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あい歯科クリニック 高尾では、痛みや不快感を抑えた治療を提供し、虫歯・歯周病・根管治療から、インプラントや審美歯科まで幅広く対応しています。

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