「要受診」の紙を持ち帰ってきたけど、これって緊急なの?と、夕方のお迎え後に慌てた経験はありませんか?「C」「CO」「GO」といったアルファベットが並ぶ結果票を見ても、何をどう判断すればよいか迷ってしまうのは、多くの保護者の方に共通する感覚です。まずは落ち着いて、それぞれのコードが何を意味するのかを整理するところから始めましょう。
学校の歯科検診でもらう「結果票」、どう読めばいいの?
学校歯科検診とはどんな検査か
歯科健診は歯や口腔の疾病および異常の有無を把握するため、学校保健安全法に基づいて6月30日までに実施されます。健康診断の結果は21日以内に児童生徒と保護者に通知され、歯科医師による診断が必要と判断された場合は、あわせて「歯科受診のおすすめ」が通知されます。
重要なのは、この検診が「確定診断」ではないという点です。歯科医院で行う診断との違いは、歯や口に症状がない児童・生徒を含めて検査対象とし、現在病気にかかっている可能性があるか、将来病気にかかるリスクが高いのか、そうでないのかをふるいわける「スクリーニング検査」である点です。
学校における健康診断は詳細な臨床検査などから確定診断を行うのでなく、「異常なし」「定期的観察が必要」「専門医(歯科医師)による診断が必要」にスクリーニングすることを目的としています。
つまり、「要受診」の通知は「すでに確実に病気です」という診断ではなく、「歯科医院でしっかり確認してください」というサインです。
検診環境には限界がある
学校歯科検診では、制限のある環境下でお口の中を拝見することになるので、疑わしいものにチェックをかける「診査」が行われます。一方で診断を行うには、歯科診療所などで、明るいライト、拡大ルーペ、レントゲンや特別な機械による検査が必須となります。そのような理由で、学校から「むし歯の疑いがある」という検診結果をもらって、歯科医院を受診したところ歯医者さんではむし歯が見つからなかった、としても、あまり気にしないでいただきたいと思います。
「要受診」と書かれていても、歯科医院の設備で改めて確認すると異常がないケースもあります。過度に不安になる必要はありませんが、だからといって放置も避けていただきたいと思います。
むし歯の被患率は依然として高い
文部科学省が毎年実施する学校保健統計調査によると、令和5年度の調査では、むし歯(う歯)の者の割合は小学校で約40%、中学校で約30%、高等学校で約40%、幼稚園で約20%となっており、いずれの学校種においても長期的な減少傾向が続いています。それでも小学生の約4割がむし歯に関係する何らかの所見を持つというのは、保護者として気にすべき数字です[1]。
あい歯科クリニック 高尾でも、学校の検診結果票を持って来院されるお子さんが毎年春から夏にかけて増えます。結果票を一緒に確認しながら、お子さんの口腔状態を丁寧にご説明しておりますので、まずは受診の敷居を低くお考えください。
コード別に解説:C・CO・G・GO・要観察・要受診の違い
結果票に記載される主なコードは、大きく「むし歯関連(C系)」と「歯ぐき関連(G系)」に分かれます。それぞれの意味を整理します。
C・CO:むし歯の状態を示すコード
平成7年4月より学校保健法の施行規則一部改正に伴い、むし歯の検査に要観察歯CO(シーオー)の概念が導入されました。それまでは受診を勧めるCと、初期う蝕の可能性があるものの自ら管理することによりう蝕への進行を防げうるCOに分けるようになりました。
| コード | 意味 | 緊急度 | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| C | むし歯あり(要治療) | 高い | 早めに歯科医院を受診 |
| CO | 初期むし歯の疑い(要観察) | 比較的低い | 歯みがきを見直し、経過観察 |
| ○(処置済) | 治療が完了している歯 | なし | 定期的なメンテナンス継続 |
C(カリエス) は、いわゆる「むし歯あり」の状態です。すでに歯に穴が開いている、または明らかな異常が見られる歯に付けられます。放置すると痛みが出る、あるいは神経まで進行するリスクがあるため、できるだけ早い受診をおすすめします。
CO(シーオー:要観察歯) は、視診にて明らかなう窩は確認できないが、むし歯の初期病変の徴候(白濁、白斑、褐色斑)が認められ、放置するとむし歯に進行すると考えられる歯のことです。穴は開いていない段階なので、COといわれた場合には、すぐに歯科医院を受診する必要はありません。ただし、歯磨きの仕方やフッ素の活用、間食の取り方を見直すことが重要です。
G・GO:歯ぐきの状態を示すコード
歯ぐきの状態についても、C系と同様に「治療が必要な段階(G)」と「要観察の段階(GO)」に分けられています。
| コード | 意味 | 緊急度 | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| G | 歯肉炎あり(要治療) | 高い | 早めに歯科医院を受診 |
| GO | 軽度の歯肉炎(要観察) | 比較的低い | 丁寧な歯みがきで改善を目指す |
GO(歯周疾患要観察者)は、歯石の沈着はないが、歯肉に軽度の炎症があるもの、清掃指導により炎症が消退すると思われる程度のものを指します。G(歯周疾患要処置者)は、専門家による診断が必要な状態を指します。
GOは多くの場合、正しいブラッシングを継続することで改善が見込める段階です。一方でGは、単なる歯みがきでは対応が難しい炎症が起きている状態を意味します。
「要観察」と「要精検(要受診)」は別物
要観察は「学校での指導と学校歯科医による定期的な観察が必要」な段階(例:CO・GO)、要精検は「歯科医による精密検査・診断が必要」な段階(例:C・G)と明確に区別されています。
結果票に「要受診」「要精検」と書かれている場合は、C・Gに相当するコードが記載されていることがほとんどです。この場合は学校側から「歯科受診のおすすめ」の書類が一緒に渡されます。「要精検」と判定された場合は「歯・口の健康診断結果のお知らせ」をかかりつけの歯科医院などに持参し、早めに治療または相談を受けることが勧められます。治療や相談のあと、歯科医師にこの用紙の「受診結果」欄などへの記入を依頼し、後日、学校に提出してください。
「要受診」は本当にすぐ行くべき?学年・症状別の受診タイミング目安
コード・症状の状態で判断する
「急いで行くべきか」「今は様子を見てよいか」は、コードの種類と、現在お子さんに症状があるかどうかを組み合わせて判断します。
| 状況 | 推奨する行動の目安 |
|---|---|
| 「C」または「要受診」と書かれている | 1〜2週間以内の受診が望ましい |
| 「C」かつ痛みや食べにくさがある | できるだけ早期の受診が望ましい |
| 「CO」のみで症状なし | 2〜3か月以内に受診し、経過確認 |
| 「GO」のみで出血が続いている | 2〜4週間以内の受診が望ましい |
| 「GO」のみで症状がほぼない | 丁寧なブラッシングを続け、次回健診まで観察も可能 |
この表はあくまで目安です。お子さんの状態やこれまでの口腔ケアの状況によって判断は異なります。「念のため確認したい」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
乳歯だから大丈夫?は禁物
「どうせ生え変わるから」と乳歯のむし歯を放置するのは、歯科的に見ると大きなリスクを伴います。乳臼歯が後続の永久歯と交換する時期は10〜11歳であり、この時期まで乳歯は健全に機能する必要があります。就学前の低年齢で発生したう蝕は急性に進行し、就学後には歯の崩壊が進み歯痛を起こし、咀嚼などの機能にも影響を及ぼします。
乳歯が健康に保たれることで、後から生えてくる永久歯の位置も安定します。乳歯のCや「要受診」を「後でいいか」と先延ばしにしないことが、お子さんの将来の歯並びや永久歯の健康を守ることにもつながります。
当院では、可能な限り歯の保存を優先した治療方針を心がけています。状態によっては抜歯や切削が必要な場合もありますが、その際は丁寧にご説明した上で治療を進めます。むし歯が初期段階であれば、治療の選択肢も広くなります。フッ素塗布やシーラント処置など、歯への負担を抑えながら進行を防ぐ方法を積極的にご提案しています。
「COだったが歯科医院に行ったら問題なかった」は想定内
学校の検診でCOと判定されて受診したところ、歯科医院の設備で詳しく確認した結果、「現時点では問題なし」と判断されるケースも少なくありません。学校歯科検診で評価される検診結果は、問題がありそうかどうかをチェックするスクリーニング検査で行われます。診断を行うには、歯科診療所などで、明るいライト、拡大ルーペ、レントゲンや特別な機械による検査が必須となるため、より詳細な評価が可能です。
「行ってみたら何もなかった」という結果でも、それは無駄足ではありません。「問題がなかったことを確認できた」という意味があります。また、その受診をきっかけにブラッシングの癖を確認したり、フッ素の使い方を見直したりできれば、次の検診までの予防につながります。
当院では、CTスキャンや国内の信頼できる歯科技工士との連携など、精度の高い診断・治療の体制を整えています。検診結果票をお持ちいただければ、実際に口腔内を確認しながら現状と必要な対応をご説明します。
検診結果を活かす:家庭でできるフォローアップ
ブラッシングの見直しが第一歩
COやGOは、正しいケアを継続することで進行を抑えられる段階です。「要観察」というのは経過観察、ていねいな歯みがきや規則正しい生活習慣を心がけ、症状が出ないかどうか様子をみるということです。かかりつけ歯科医による継続的な指導・管理を受けられることも勧められます。
「どこが磨けていないか」は、お子さん自身ではなかなか把握できません。当院では歯科衛生士がお子さんの磨き残しを可視化しながら、年齢や歯並びに合わせたブラッシング指導を行っています。
当院のブラッシング指導丨正しい歯磨き方法を歯科衛生士が個別指導
定期的なメンテナンスがカギ
学校の歯科検診は年1回です。一方で、むし歯や歯肉炎は1年の間に進行することがあります。検診で「問題なし」だったとしても、歯科医院での定期的なチェックを継続することが口腔の健康を長期的に守ることにつながります。
当院では、お子さんの年齢や口腔状態に応じた定期メンテナンスをご提案しています。スケジュールの立て方も含めて、受診時にご相談ください。
まとめ
- 学校の歯科検診はスクリーニングであり、確定診断ではありません。「C・要受診」は「歯科医院でしっかり確認してください」というサインです。
- コードの意味を理解することが対応の出発点です。C・Gは早めの受診が望ましい「要治療」の状態、CO・GOは正しいケアと経過観察が中心の「要観察」の状態です。
- 乳歯のむし歯を放置することは将来の永久歯にも影響します。「どうせ生え変わるから」という考えは、歯科的には大きなリスクを伴います。
- COやGOでも歯科医院を受診する意義はあります。 専用の機器で詳しく状態を確認し、必要であれば予防処置やブラッシング指導が受けられます。
- 文部科学省の調査によると、小学生のむし歯被患率はいまだ約4割程度と高い水準にあります。検診結果票は予防を見直す絶好の機会です[1]。
お子さんの検診結果票をお持ちいただければ、内容を確認しながら現在の口腔状態をご説明します。あい歯科クリニック 高尾は高尾駅南口から徒歩約1分の場所にあり、平日はお迎え後の時間帯(最終受付20:00)、土曜日のご予約も承っております。急なご相談も含め、まずはお気軽にご連絡ください。電話(042-673-7610)またはWEB予約(24時間受付)よりお申し込みいただけます。
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について」mext.go.jp
[2] 公益社団法人神奈川県歯科医師会「学校歯科健康診断の目的」dent-kng.or.jp
[3] 公益社団法人神奈川県歯科医師会「学校歯科健診の結果をどう受け止めるか?」dent-kng.or.jp
[4] 公益社団法人神奈川県歯科医師会「学校の歯科健診、結果を受けての対応について」dent-kng.or.jp

