冷たい水を口にした瞬間、あるいは甘いものを食べたときにキーンとしみる。一度だけならまだしも、繰り返し起こると「これは虫歯なのか、それとも知覚過敏なのか」と不安になるものです。実際、しみ方には共通点も多く、見た目だけで自己判断するのは容易ではありません。ここでは、しみる症状の背景にある3つの主な原因と、当院で行っている検査の流れをご説明します。
しみるのは虫歯だけでなく知覚過敏や歯周病でも起こります

「しみる」という症状は一つの病気だけに現れるわけではありません。虫歯・知覚過敏・歯周病のいずれでも生じ得るため、症状だけで原因を特定するのは歯科医師でも慎重な判断が必要です。
象牙質が露出すると刺激が神経に伝わりやすくなる
歯の表面はエナメル質という硬い組織で覆われていますが、その内側にある象牙質には象牙細管という細い管が無数に存在します。むし歯で歯に穴が開き、むき出しになった神経に冷たいもの、酸味の強いもの、歯ブラシなどがさわってしみる場合もあれば、歯に穴が開いているわけでもないのに、冷たいものを食べたり飲んだりしたときなどに歯がキーン、ズキーンとしみる場合もあり、この場合は象牙質知覚過敏症が疑われます[3]。虫歯・知覚過敏・歯周病のいずれも、最終的には象牙質が刺激に対して敏感になる点で共通しているのです。
症状だけでの自己判断には限界がある
しみる感覚の強さや持続時間には個人差が大きく、象牙質知覚過敏症の症状は、冷たい飲食物や歯ブラシがさわったときにしみる場合だけでなく、チョコレートのような特定の食べものを噛んだときにしみて、のちのちまで余韻が残る場合などさまざまです。当院では、患者様ご自身の感覚に基づく判断だけに頼らず、視診・触診・CTスキャンなどを組み合わせて原因を特定するようにしています。歯磨きで出血がある場合は歯周病由来のしみである可能性も考えられますので、歯磨きで血が出るのは歯周病のサイン?原因とセルフチェック・受診の目安も参考にしてください。
知覚過敏・初期虫歯・歯周病はしみ方の特徴が少しずつ異なります

3つの原因はいずれも「冷たいものがしみる」という共通の入り口を持ちますが、痛みの持続時間や誘因となる刺激の種類には傾向の違いがあります。ただし、あくまで傾向であり、確定診断には検査が必要です。
知覚過敏は一過性で、刺激がなくなると痛みが引く傾向がある
知覚過敏は、歯ぎしり・食いしばりや強いブラッシング圧などによって歯肉が退縮し、歯根の象牙質が露出することで起こりやすいとされています。詳しい原因やセルフケアの限界については冷たいものがしみるのはなぜ?知覚過敏の原因とセルフケアの限界でも解説していますので、あわせてご覧ください。
初期虫歯は冷たいものだけでなく甘いものにも反応しやすくなる
虫歯が進行すると、冷刺激だけでなく甘味刺激や温度差の大きい刺激にも反応するようになり、しみる時間が長引く傾向があります。虫歯を放置した場合の進行段階については虫歯を放置するとどうなる?C0〜C4の進行段階と治療が遅れるリスクで詳しく整理しています。
歯周病由来のしみは歯肉の炎症や出血を伴うことが多い
歯周病が進行すると歯を支える組織が損なわれ、歯肉が下がって歯根の象牙質が露出します。日本歯科医師会が案内する歯周病の検査では、プラーク付着の状態、はぐき(歯肉)からの出血、ポケットの深さ、歯の動揺度等を調べると共に、エックス線写真を撮影して歯の周りの歯槽骨の状態を確かめますとされており[1]、しみ以外の歯肉の状態を合わせて確認することが重要です。当院では歯周病予防のための検査・治療にも力を入れており、詳細は歯周病予防のための当院の取り組み丨検査・治療・メンテナンスをご覧ください。
以下は3つの原因の一般的な傾向をまとめた表です。あくまで目安であり、実際の診断には検査が必要です。
| 原因 | しみやすい刺激 | 痛みの持続 | 併発しやすい症状 |
|---|---|---|---|
| 知覚過敏 | 冷たいもの・歯ブラシ・風 | 一過性で比較的短い | 歯肉の退縮、くさび状の欠け |
| 初期〜中期虫歯 | 冷たいもの・甘いもの | 刺激後もしみが残ることがある | 歯の変色、穴、詰め物周囲の違和感 |
| 歯周病 | 冷たいもの(歯根露出部) | 症状は様々 | 歯肉の腫れ・出血、口臭 |
当院ではCTとう蝕検知液を組み合わせて原因を精密に見分けています
しみる原因を正確に判断するには、視診だけでなく画像診断と染色検査を組み合わせることが有効です。当院では、CTスキャンとう蝕検知液を用いた検査手順により、虫歯・知覚過敏・歯周病それぞれの可能性を段階的に絞り込んでいます。
CTで歯の内部構造と歯槽骨の状態を三次元的に確認する
当院ではCTスキャンを導入しており、歯の内部構造を詳細に把握したうえで精度の高い診断を行うことができます。二次元のレントゲンでは重なって見えにくい隣接面の初期虫歯や、歯周病による歯槽骨の吸収の程度も、CTによる断面画像であれば立体的に確認しやすくなります。
う蝕検知液で虫歯部分だけを染め出し健全な歯質を見極める
う蝕検知液は、感染した虫歯象牙質を選択的に染色する薬剤です。う蝕検知液は、感染した象牙質と健全な歯質を染まり方の違いで見分けるために使われ、削り過ぎを防ぎながら必要な範囲だけを除去する助けになります。当院ではこの検知液を用いることで、健康な歯質を最大限残すよう削る範囲を精密に判断しています。さらに神経に近い深い虫歯では、組織再生を促す作用があるとされるMTAセメントを用いて神経を保護する治療も選択肢としています。
iTero光学スキャナーとマイクロスコープで初期の変化も確認する
当院ではiTero 5D口腔内スキャナーも導入しており、近赤外線を利用して歯の内部の初期虫歯まで検知することが可能です。加えて、マイクロスコープや高倍率ルーペを用いることで、肉眼では確認しづらいひび割れや歯肉の微細な退縮の様子も拡大して観察します。鹿児島大学病院の広報誌では、全国で2000人を対象に行われたアンケート調査によると約7割の人が象牙質知覚過敏症の症状があると答えていますと報告されており[2]、しみる症状を経験する方は決して少なくありません。自覚症状だけで様子を見るのではなく、検査で原因を確認することが早期対応の第一歩になります。予防歯科の検査項目や通院ペースについては当院の定期検診はどんな内容?検査項目と通院ペースを解説、クリーニングの流れは当院の歯のクリーニング(PMTC)の流れと料金丨高尾で定期メンテナンスでご確認いただけます。
まとめ
- しみる症状は虫歯・知覚過敏・歯周病のいずれでも起こり得るため、症状だけでの自己判断には限界があります
- 知覚過敏は一過性のしみが多く、虫歯は甘味刺激にも反応しやすく、歯周病は歯肉の出血や腫れを伴いやすいという傾向がありますが、確定には検査が必要です
- 当院ではCTスキャンで歯の内部構造・歯槽骨の状態を確認し、う蝕検知液で虫歯部分を染め出すことで、削る範囲を精密に見極めています
- iTero光学スキャナーやマイクロスコープを併用し、初期の変化も見落としにくい検査体制を整えています
- 予防・クリーニングは担当の歯科衛生士が継続して対応する体制を整えています
自己判断が難しい「しみる」症状は、検査でのご確認をご検討ください。あい歯科クリニック高尾は高尾駅南口から徒歩約1分で、土日診療・急患対応も行っております。まずは初めての方へ(初診の流れ)をご覧いただき、お気軽にご相談ください。お電話でのお問い合わせは042-673-7610、24時間受付のWEB予約もご利用いただけます。
参考文献
[1] 日本歯科医師会「歯周病 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」jda.or.jp
[2] 鹿児島大学病院「象牙質知覚過敏症のいま~生活習慣病として考える~」hosp.kagoshima-u.ac.jp
[3] 神奈川県歯科医師会「歯がしみる~原因と対処法~」dent-kng.or.jp

